Japanese

English

イベント情報

システム研究グル―プHOME

イベント情報

ALPS国際シンポジウム2018-長期大幅排出削減に向けて-

ALPS国際シンポジウム2018-長期大幅排出削減に向けて-

開催結果

 平成29年度ALPS国際シンポジウムを下記のように開催いたしました。官公庁、大学、研究機関、企業、その他団体等から310名の方に参加いただきました。
 RITEでは、経済産業省の委託事業として「地球温暖化対策技術の分析・評価に関する国際連携事業」(通称ALPS: ALternative Pathways toward Sustainable development and climate stabilization)を実施しています。この研究事業では、グリーン成長に資する国際枠組み、国際戦略立案に資する研究を進めており、その中で、パリ協定の実効性を高めるためのレビュー方法の検討や、温室効果ガス排出削減を中心とする温暖化緩和策および適応策の評価、またこれらをどう組み合わせて長期の気候変動リスクに対応するか、について検討を行ってきています。
 2015年12月の気候変動枠組条約の第21回締約国会議(COP21)においてパリ協定が合意され、2016年11月に発効しました。世界の大多数の国が2020年以降の自国の温室効果ガス排出削減目標等をNationally Determined Contributions (NDCs)として提出し、世界のほぼすべての国が排出削減に取り組む新たな国際枠組みができました。一方、2020年までに各国が国連に提出することになっている長期低排出発展戦略の策定に向けて、2050年以降の長期にわたる温暖化対策の議論が国内外で活発になってきています。
 このたび、様々な気候変動のリスクを認識しつつ、長期の大幅排出削減に向けた方向性を探るため、また本研究事業の成果報告会を兼ねて、去る2月9日に経済産業省共催の下、平成29年度ALPS国際シンポジウムを開催しました。本シンポジウムでは、国際応用システム分析研究所(IIASA)、国際エネルギー機関(IEA)、コロラド大学、ドイツ国際安全保障問題研究所(SWP)、パリ・サクレイ大学からの海外招聘者計5名、国立環境研究所からの国内招聘専門家1名により、長期では正味CO2排出をほぼゼロにする必要性、将来目標と現状のギャップに関する考え方、不確実性を認識した総合的視点からのリスクマネージメントの重要性、技術革新の必要性など様々な観点から講演を頂き、講演者と参加者との間で活発な質疑が行われました。長期大幅排出削減のために有効な考え方や必要な政策について、幅広い方々が最新の研究成果をもとに深く考える有意義な機会になったと考えます。

開催概要

日 時
2018年2月9日(金) 10:00~17:10
開催場所
虎ノ門ヒルズフォーラム(東京)
主 催
公益財団法人地球環境産業技術研究機構
共 催
経済産業省

プログラム

 各講演者による発表資料が、ダウンロード(PDFファイル)できます。プログラム内の発表標題をクリックして、入手下さい。

10:00 開会挨拶
茅 陽一, RITE理事長
10:05 来賓挨拶
岸本 道弘, 経済産業省 大臣官房審議官(環境問題担当)
10:10

"長期大幅排出削減に向けて-部門別ゼロエミッション技術開発の必要性-"(pdfファイル364KB)
"Toward long term, deep emission reductions —Needs of developing sectoral ZE technologies—"<英語版>(pdfファイル314KB)

茅 陽一, RITE理事長

〔発表主旨:エミッションそのものをできるだけゼロにするという努力が必要で、排出サイドのゼロエミッション達成に向けて、発電、運輸、産業など各分野で現実的な努力が必要。〕

10:25

"大幅排出削減と持続的発展のための「炭素法則」"(pdfファイル6,041KB)

Nebojsa Nakicenovic, IIASA副所長

〔発表主旨:ネットゼロ排出を達成するためには10年ごとに排出を半減させる炭素法則や吸収源の強化が必要となる。パラダイムの変革により急激な排出削減が必要であり、技術とイノベーションが鍵を握る。また、気候変動のみならずSDGの17目標を達成することも大切。〕

11:10

"地球規模気候リスクとパリ協定の目標についての考察"(pdfファイル984KB)
"Some thoughts on global climate risks and the Paris goals"<英語版>(pdfファイル956KB)

江守 正多, 国立研究開発法人 国立環境研究所 地球環境研究センター 気候変動リスク評価研究室長

〔発表主旨:パリ協定の目標を修正して今世紀後半にCO2排出ゼロを目指すようにすれば、社会にとっての意味が明確で目指しやすい。
排出削減のための、技術重視と社会変革重視の見方は融合可能。イノベーションがライフスタイルを変え、それがビジネスモデルや産業構造の変化、即ち技術普及・技術進展の変化につながる。〕

11:55 休憩
13:00

"世界のエネルギー転換の状況:IEA世界エネルギー展望からの教訓"(pdfファイル1,419KB)

Laura Cozzi, 国際エネルギー機関(IEA) エネルギー需要アウトルック部門長

〔発表主旨:SDGs(ユニバーサルアクセス、大気汚染の改善、気候変動対応等)の目標を考慮した分析を実施。このSDシナリオは50%の確率で2℃を達成するものに相当し、2040年にはエネルギー効率が2倍になり、ガスが石炭に代替し、EV、PVが大幅に増加。また、デジタル化はエネルギーシステムを変革するポテンシャルを有する。〕

13:45

" 未来の誤用"(pdfファイル4,093KB)
Roger Pielke Jr., コロラド大学 教授

〔発表主旨:将来シナリオは重要かつ必要なものであるが、これが政策オプションの可能性を狭めてしまう可能性があり、RCP8.5を誤用する例も見受けられる。”Today-forward planning(今日から先を見る)”アプローチで、炭素フリーのエネルギー消費の増加等を考えていくことを提案。〕

14:30

"ネットゼロエミッション:最も行動可能な温暖化目標"(pdfファイル477KB)
Oliver Geden, ドイツ国際安全保障問題研究所(SWP) EU/ヨーロッパ部門長

〔発表主旨:温暖化対策は、温度閾値に依存すべきではなく、ネットゼロというアプローチを用いることによって行動を可能にし、矛盾を回避できる。更に、国、経済セクター、企業を評価する透明性のあるアプローチであり、新しい文化的規範が形成され、先にネットゼロを達成しようという競争を促す。〕

15:15 休憩
15:35

"2050年に向けたヨーロッパ-特にフランスの電源構成の脱炭素化に関する技術経済分析"(pdfファイル1,558KB)

Pascal Da Costa, パリ・サクレイ大学 教授

〔発表主旨:温暖化政策と電力自由化の関係や経済影響に着目し、EUでの排出量取引のオークション収入の還元方法や、原子力発電が主力であるフランスでの再エネの比率の上昇に関する影響を評価。〕

16:20

"長期CO2ゼロエミッションに向けての気候変動リスク対応戦略"(pdfファイル3,317KB)
"Climate change response strategy toward long-term zero CO2 emissions"<英語版>(pdfファイル3,650KB)
秋元圭吾, RITEシステム研究グループ グループリーダー

〔発表主旨:超長期ではネットゼロエミッションの実現が必要であるが、気候感度や炭素の社会的費用の不確実性が大きい点、理想的な炭素価格と実際の炭素価格の大きなギャップ、大量のBECCS等の利用の現実性などには留意が必要。
気候変動とSDのシナジーとトレードオフの全体像を考慮した上で気候変動対策をとっていく必要性や、技術と社会が新たなイノベーションを生み出し広く社会へ普及するシナリオを提示。〕

17:05 閉会挨拶
本庄孝志, RITE専務理事
(司会)松本真由美

 

お問合わせ

〒619-0292 京都府木津川市木津川台9-2
(公財)地球環境産業技術研究機構(RITE) システム研究グループ
TEL: 0774-75-2304  FAX: 0774-75-2317

| イベント情報一覧 |

ページの先頭へ