事業内容
脱炭素化に向けて、電力部門・産業部門ともに燃料やエネルギー源の転換が進みますが、一定の化石燃料需要は残存し、CO2排出も必然的に避けられません。このため、比較的CO2排出量の少ない天然ガスの燃焼によって排出されるCO2濃度10%以下の低圧・低濃度排ガスからのCO2分離回収に対して、低エネルギー・低コスト技術の開発が必要です。
近年、カーボンニュートラルに向けたCO2分離素材の開発において、世界では共通基盤の確立が進んでいますが、日本ではそのような基盤が整備されておらず、中立かつ公平な評価を可能とする標準評価法と設備、運営体制が求められています。世界で拡大するCO2分離回収市場において国内企業の産業競争力を強化して、そのシェアを拡大することを支援するため、新規のCO2分離素材を実ガスを使って性能評価できる共通基盤の構築を実施します。
本事業は、2022年から2030年までの9年間を予定(第1期:2024年度まで)し、次の研究開発項目を実施します。
(a)実ガスを用いた標準評価法の策定(実ガス試験センターの設置・運営)
(b)革新的分離素材開発に向けた標準評価法の確立
(c)耐久性評価手法の開発
(d)データベースの構築と標準評価法の普及
図 本事業の狙いと位置づけ
RITEは、2024年度までの3年間において、発電所排ガスおよびボイラー排ガス等を想定した燃焼排ガスを対象とするCO2分離素材を評価するために、3種類のCO2分離回収技術(化学吸収法、吸着法、膜分離法)について、実ガス試験評価装置をRITE本部研究所内に設置するとともに標準評価法を策定します。2022年度は、標準評価法の素案作成および実ガス試験センターの基本設計を実施しました。2023年度から設備設計に着手し、2024年度の完成を目指します。