Japanese

English

イベント情報

システム研究グル―プHOME

イベント情報

ALPS国際シンポジウム2017-パリ協定の下での各国の政策と対策、その課題-

ALPS国際シンポジウム2017-パリ協定の下での各国の政策と対策、その課題-

開催結果

 ALPS国際シンポジウム2017を下記のように開催いたしました。官公庁、大学、研究機関、企業、その他団体等から298名の方に参加いただきました。
 2020年以降の気候変動対応の国際枠組みとなるパリ協定が、2015年12月に合意され、2016年11月に発効しました。パリ協定は、各国が自主的に目標を提出しレビューする仕組みとなっており、各国の取り組みが重要になりますが、各国の温暖化対策は成功している部分もうまくいっていない部分も混在していると見受けられます。世界各国における温暖化への取り組みをより良く理解しながら、より良い対策を見出していくことが重要と考えられます。
 講演では、日本、英国、ドイツ、米国、サウジアラビアの5か国での対策の状況について、取り組み状況と直面している課題が共有されました。また、自然科学的、経済的、社会的、政治的な多くの不確実性があり、その不確実性の下でより良く気候変動リスク対応戦略をとることの重要性について指摘がなされました。また、その際には、気候変動以外の持続可能な発展との調和をはかることの重要性についても指摘されました。深い知見と経験を有する専門家によって、このように大変有意義な講演そして議論が展開されました。

開催概要

日 時
2017年2月7日(火) 10:00~17:15
開催場所
虎ノ門ヒルズフォーラム(東京)
主 催
公益財団法人地球環境産業技術研究機構
共 催
経済産業省

プログラム

 2015年12月の気候変動枠組条約の第21回締約国会議(COP21)においてパリ協定が合意され、2016年11月に発効しました。世界の大多数の国が自国の温室効果ガス排出削減目標等をNationally Determined Contributions (NDCs)として提出し、世界のほぼすべての国が排出削減に取り組む新たな国際枠組みができました。パリ協定の仕組みにおいては、各国の取り組みが重要ですが、各国の温暖化対策は成功している部分もうまくいっていない部分も混在していると見受けられます。また、英国のEUからの離脱、米国トランプ政権の誕生など、周辺環境も変化しており、世界各国における温暖化への取り組みをより良く理解しながら、より良い対策を見出していくことが重要と考えられます。

 地球環境産業技術研究機構(RITE)では、経済産業省の委託事業として「地球温暖化対策技術の分析・評価に関する国際連携事業」(通称ALPS: ALternative Pathways toward Sustainable development and climate stabilization)を実施しています。この研究事業では、グリーン成長につながるようにするには、温室効果ガス排出削減を中心とする温暖化緩和策、および、温暖化の影響への適応策をどのように進めるべきなのか、また、どのような政策が有効なのかに焦点を当てた研究を行っています。そして、地球温暖化問題研究で世界的に著名なオーストリアの国際応用システム分析研究所(IIASA: International Institute for Applied Systems Analysis)、米国の未来資源研究所(RFF: Resources for the Future)をはじめ、世界の研究機関とも協力しながら研究を進めています。

 このたび、パリ協定の発効という歓迎すべき状況の一方で、世界各国における温暖化対策への取り組みの課題もより顕在化してきている状況において、各国の状況への理解を深めながら、今後目指すべき気候変動対応策の方向性を探るため、また本研究事業の成果報告会を兼ねて平成28年度ALPS国際シンポジウムを開催しました。本シンポジウムでは、この分野で活躍している国内外の著名な専門家をお招きし、ご講演頂きました。

 各報告者による発表資料が、ダウンロード(PDFファイル)できます。プログラム内の発表標題をクリックして、入手下さい。

10:00 開会挨拶
茅 陽一, RITE理事長
10:05 来賓挨拶
髙科 淳, 経済産業省 大臣官房審議官(環境問題担当)
10:10

"全ての人々の持続可能な未来に向けた大転換"(pdfファイル8,017KB)

Nebojsa Nakicenovic, IIASA副所長

〔発表主旨: 産業革命以降、人口、GDPは増え、携帯電話も大きく普及した。一方で土地利用、CO2は増えてきた。1.5℃目標の場合、CO2排出許容量はほとんど残っていない。SDGsとのシナジーを考えたCO2排出削減が重要。なお、技術の進展は早く、大幅な排出削減をあきらめる必要はない。〕

10:50

"地球温暖化リスクへの基本戦略"(pdfファイル2,300KB)
"Principles of a response strategy to the climate risk"(英語版)

山地憲治, RITE理事・研究所長

〔発表主旨:パリ協定を評価。日本政府は、東日本大震災後の難しい状況の中でエネルギーミックス、約束草案を策定した。電力システム改革の下で対策を進めることとなっており、一層対応が難しい状況にある。政治的、科学的、社会的な不確実性は多くあり、それらを踏まえたリスクマネージメント戦略の立案が重要。〕

11:30

"パリ協定の目標にいかに到達するか-ドイツとヨーロッパの経験による提言"(pdfファイル700KB)
Georg Erdmann, ベルリン工科大学 教授

〔発表主旨:ドイツ政府は2050年に80%から95%減という目標を立てている。原発フェードアウトを計画しているが、その代替のクリーンエネルギーについては明確にしていない。再エネ目標は達成する見込みだが負担額は大きくなった。省エネはうまくいっているかどうか不透明。クリーン乗用車の普及はあまりうまくいっていない。〕

12:10 休憩
13:20

"凍結:Brexit時代の英国気候変動政策"(pdfファイル742KB)

Pilita Clark, フィナンシャルタイムズ 環境担当記者

〔発表主旨:英国は、法的拘束力のある温室効果ガス排出削減目標を世界に先駆けて設定するなど、気候変動政策の先駆者であった。しかし、CCSや太陽光、風力に対する支援が削られてきている。Brexit以降、あらゆる政策の不確実性が大きくなっているが、気候変動政策も同様。2030年排出削減目標の達成は不透明になっている。〕

14:00

"パリ協定下のサウジアラビアの削減目標を達成するための政策オプションの初期評価"(pdfファイル990KB)
Douglas Cooke, アブドラ国王石油調査研究センター(KAPSARC) ディレクター

〔発表主旨:パリ協定は世界の気候変動合意に向けて重要なステップだが、目標と実態にはギャップがある。サウジアラビアは産油国であると同時に人口増で国内のエネルギー需要も増大している。炭素価格政策、助成金、発電投入燃料自由化が排出にどのような影響を与えるかをモデル分析した結果を紹介。〕

14:40 休憩
15:00

"トランプ新政権と温暖化対策"(pdfファイル969KB)

上野貴弘, 一般財団法人電力中央研究所 主任研究員

〔発表主旨:トランプ政権の発足に伴い、米国の温暖化政策がどのように変化するのかについての見解を紹介。これまでのところトランプ政権は気候変動対策に否定的な発言が目立つが、議会、司法との関係でできることとできないことがある。オバマ前政権が進めた温暖化対策を見直していくだろうが、トランプ政権の路線にもいずれ揺り戻しが起こると考えられる。〕

15:40

"短期的な政策的・社会的課題を踏まえた英国の長期排出削減目標の達成"(pdfファイル1,847KB)
Neil Strachan, ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン 教授

〔発表主旨:英国では学者と政府が長い間、関係を築いてきており、低排出目標の設定や実施にあたっても、グローバルな研究成果を踏まえエネルギーモデルを用いて実証に基づく政策形成を行ってきた。しかし、複雑で不確実な現実世界において大幅な排出削減を達成することは容易ではない。エージェントベースモデルによる試算結果も紹介。〕

16:20

"パリ協定約束草案の排出削減努力の評価"(pdfファイル2,600KB)
"Evaluations on emission reduction efforts of nationally determined contributions under the Paris Agreement"(英語版)
秋元圭吾, RITEシステム研究グループ グループリーダー

〔発表主旨:現状では世界でグリーン成長が実現しつつあるという楽観的な状況にはない。パリ協定約束草案の限界削減費用は国別に大きな差異があり、また国内対策も多目的であり、排出削減を費用最小化で実現する場合に比べ大きな費用が必要。適応、気候工学的対応、イノベーションの可能性も含め、不確実性下での総合的なリスクマネージメント戦略の立案が重要。〕

17:10 閉会挨拶
本庄孝志, RITE専務理事
(司会)長島美由紀

 

お問合わせ

〒619-0292 京都府木津川市木津川台9-2
(公財)地球環境産業技術研究機構(RITE) システム研究グループ
TEL: 0774-75-2304  FAX: 0774-75-2317

| イベント情報一覧 |

ページの先頭へ