地中貯留プロジェクト CO2地中貯留プロジェクト(二酸化炭素地中貯留技術研究開発)

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地中挙動予測手法の高精度化
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> 目的


 地中挙動予測手法の高精度化ではCO
2挙動やトラップメカニズムの解明を目指し、以下の研究を実施しました。

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水理地質構造の数理モデル構築手法の開発
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地化学的閉じ込め率の算出・評価
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シール層の微小亀裂の影響評価

 また、地中に貯留したCO2が万が一に漏洩した場合の地下浅部でのCO2挙動予測として、以下の研究を実施しました。

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地表漏洩の天然類似事例調査と上方移行プロセスの予測
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貯留層から地下浅部へ上昇するCO2の地下水・地盤に及ぼす化学的影響の推定
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湧出CO2の大気拡散状況の推定

 これらを実施することにより、CO2の挙動やトラップメカニズムに係わる技術的課題を整理し、CO2地中貯留挙動予測の高精度化を目指します。


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> 温度検層による地下水流動解析


 東京湾をモデルとした地下水流動解析においては、関東平野での深度400mまでの地下水の広域流動調査を実施して、多数の地下水井の温度勾配を解析し、以下の3つのタイプに分類されることが判明しました。

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Recharge type:勾配が小さく、地下水の涵養傾向を示す
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Distarge type:勾配が大きく、地下水の湧出傾向を示す
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Intermediate type:両者の中間傾向

 これらの3つのタイプは地域ごとに集中しており、関東平野の広域地下水の浅部での流動の概要を把握できました。今後、これらの手法を実際に貯留する対象深度に適用することにより、地中貯留に影響を及ぼす地下水流動を把握することができると期待されます。

関東平野の地下400mまでの地下水の広域流動

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> 地下水データベースの整備


 地中貯留においてCO2の鉱物固定がどれだけ期待できるかを評価するため、国内の井戸水に含まれる化学組成を調査し、データベース化しました。

地下水データベースの整備状況

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> 地表漏洩天然類似例調査


 地表への漏洩天然類似例としてメタンガスが地表へ湧出している地域を調査しました。ボーリングで断層の調査を実施して漏洩と断層との関係を解析することにより、想定湧出モデルを作成しました。これを用いて、万が一地表部にCO2が漏洩するような事象が発生しても問題にならないレベルであることを確認する予定です。

天然類似例に基づく湧出モデル

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> 成果

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温度検層による浅部広域地下水流動評価手法を開発しました。
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国内の主な地下水組成をデータベース化しました。
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断層とガス湧出状況の関係から浅部移行現象の特徴を明らかにし、想定湧出モデルを作成しました。


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> 今後の課題

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広域地下水流動解析を貯留層深度へ拡張することで、数理的水文地質構造を明らかにし、CO2挙動をシミュレーションで予測します。
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CO2-岩石-地層間隙水間の地化学的反応関係を東京湾岸モデルに合わせて解析し、鉱物固定量を推定します。
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浅部地層におけるCO2移行挙動把握の精度を向上させます。

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