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地球温暖化について考えよう 応用知識編

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地球温暖化について考えよう 応用知識編

世界の分析

米国による海外石炭火力発電所新設に対する公的融資制限及び規制案の評価

米国による海外石炭火力発電所新設に対する公的融資制限及び規制案の評価

米国オバマ政権は、2013年6月に「大統領気候行動計画」の中で、海外の石炭火力発電所新設に対する公的金融支援の条件を発表しました。その内容は、事実上、石炭火力発電所新設の金融支援を取り止めるとするものであり、最貧国において代替手段がなく、かつ最高効率の石炭火力技術のみ、もしくは、CO2排出規制値500gCO2/kWhを満たすCCSを付設した石炭火力に対してのみ融資を行うというものです。また、米国財務省は、同年10月に、国際開発金融機関もこれに沿った基準での金融支援を行うように求めるガイダンスを発表しました。
このような状況の中、石炭火力の新設の際に、CCS付設の石炭火力発電のみを認めた場合、あるいは高効率石炭火力発電の新設も認めた場合、GHGs排出量と(平均)削減費用はどの程度になるか、"Loophole" の存在にも問題意識を持ちつつ分析を実施しました。

本分析結果からは、途上国も含めて厳しい排出削減条件を前提としたときは、低・中効率の石炭火力を新設するインセンティブはもとより働かず、この場合は同融資制限がなくとも相応な排出削減となります。
しかし、現実の世界では、厳しい排出削減が世界のすべての国で実施されない可能性が高く、このように世界の排出規制が緩い状況下では、米国政府が主張する極めて厳しい石炭火力新設の金融支援方針の場合、金融支援制約があっても、途上国自身の資金によって低・中効率の石炭火力は利用され続ける可能性があります。すなわち、大きな"Loophole"が生じ、却って世界のCO2排出を増やしてしまう恐れがあります。

現実の世界の状況を踏まえると、CCS付設の石炭火力発電のみを公的金融支援の対象とするのではなく、高効率石炭火力に対しても金融支援を認めるような方向に修正したほうが、平均排出削減費用が小さく、かつ実効ある排出削減につながると考えられます。

米国による海外石炭火力発電所新設に対する公的融資制限及び新規排出規制案の評価<英語版>はこちら

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