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次に事業の背景についてですが、政府は、「地球再生計画」を1990年のヒューストンサミットにおいて提唱しました。これは、「省エネルギーの推進」、「クリーンエネルギーの導入」、「CO2回収・貯留技術の開発」、「CO2吸収源の拡大」、「新エネルギー源の開発」という5つの柱から成り立っています。
海洋隔離技術はこの「 CO2回収・貯留技術の開発」に相当します。この図に示されるように、海洋隔離技術は、地中貯留技術や他の方策と合わせて、「将来の大気中CO2濃度の安定化」さらには「CO2排出量の抑制」に重要な技術と位置づけられます。これらの観点から海洋隔離技術の意義をみると、この図に示されるように、海洋隔離の実施によって、大気中CO2濃度上昇のピークを抑制できること。CO2濃度上昇の速度を遅らせること。さらに、CO2を大量に隔離できることが挙げられます。 |
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以上の背景を基に、本事業を我々が推進する際の事業の位置付けとして作成した、海洋隔離技術全体と関連する技術開発のロードマップを示しました。2030頃までのCO2分離・回収・貯留のロードマップを、マクロ政策的な意義を背景に描くと、分離回収の大量処理技術が実用化するのが2010年頃であり、その時期に地中貯留の実用化を先行させるのが政策上望ましいと考えています。また、2015年頃には分離回収技術が低コスト化したり、様々な排出源対応が実用化すると予測されますので、この頃から、海洋隔離技術を実用化すればこの技術はCO2の大量処理が可能なため、排出源と貯留サイトのマッチングが取れることになります。したがって、海洋隔離技術開発の位置付けとしては、海洋隔離技術の実用化はCO2隔離量確保の観点から必要であり、CO2の分離・回収・貯留の全体プロジェクトの一環として開発することが望まれます。なお、海洋隔離に対する社会的合意の獲得や、実海域での実証試験などには準備期間が長期になることが考えられるので、政策的にも2020年頃の実用化を想定することが妥当と考えています。 |
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次に、事業の技術的背景と特色について説明します。
この図は、地球規模の炭素収支を示していますが、大気中のCO2は海洋、地上、大気に配分され、概ねここに示す比率で安定化するものと考えられています。
したがって、CO2海洋隔離技術が対象にしているこの海洋は大量のCO2吸収能力を持つと言えます。しかし、大気中に急激に増加したCO2は、この海洋等への移行が追いつかず、産業革命前の大気中の
CO2濃度が280ppmであったのに対し、現在は380ppmと急増しています。
「CO2海洋隔離技術」の概念図をここに示しましたが、 CO2海洋隔離技術とは、この「大気と海洋間で行われている自然プロセス」を、このような方法で人為的に促進させ、海洋へのCO2吸収の促進を行う技術とも言えます。
この技術の特色として、本事業では、航走船舶すなわちMoving Ship方式によるCO2初期希釈率の増大をターゲットとしており、この方式によって、海洋への環境影響を最小限に抑えることができると期待されています。 |