二酸化炭素の海洋隔離に伴う環境影響予測技術開発 Study of Environmental Assessment for CO2 Ocean Sequestration for Mitigation of Climate Change
 海洋隔離技術の解説 >> 海洋隔離の有効性
  隔離容量と隔離期間

図6.海洋の炭素循環モデルと海洋隔離
海洋の炭素循環モデルと海洋隔離

図6は、海洋隔離をどのようなモデルで考えているかを簡単に示したものです。

自然界では、大気中のCO2は海洋の表層へ溶解し、中深層へ拡散し、それが他の海域へ拡散し、それぞれの間で物質循環が行われていると考えられております。

Moving Ship方式の海洋隔離では大気中へ放出されるCO2を事前に捕集して、表層を介することなく、中深層へ直接投入するので、自然のプロセスを加速することができ、かつ、海洋の体積の約95%を占める中深層を利用するため大きな隔離量が期待できます。

また、一旦隔離されたCO2は再度大気へ戻りますが、鉛直方向への拡散は水平方向に比べ1000万分の1から1億分の1と遅いので、長い隔離期間が期待できます。

なお、生物が多い表層を迂回するので、環境への影響も低く抑えられることが期待できます。
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図7.CO2隔離量の推定
CO2隔離量の推定

海洋はどれだけのCO2量を隔離する能力があるかについて、推定します。隔離量を、全炭酸の上昇許容可能濃度と海域面積と溶解希釈できる水層の厚さの積で定義すると、大西洋では24Gトン-Cが、太平洋では60Gトン-CのCO2が隔離できると推定されます。

大西洋における隔離量の計算では、図7の青色の点で示しているCO2濃度の深さ方向分布を参考にして、1000mから3000mの間で、許容濃度の上昇を2%、すなわち約50マイクロモル(約2ppm-w)を許容できると仮定しました。なお、水層の厚さとしては2000mを、海域としては、大西洋の4000mより深い海域の50%を対象にした場合の計算結果です。太平洋についても、同じ条件での計算結果です。

以上の計算で得られる合計84Gトン-Cは、大気中CO2濃度の年間の増加量3.3Gトン-Cと比較して、相等大きな隔離量であるといえます。なお、利用面積を2倍、許容濃度を2倍に、さらにインド洋の隔離量も加えれば、508Gトン-Cへ隔離量を増やせる可能性があります。
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図8.CO2隔離期間の推定
CO2隔離期間の推定

次に、海洋へ溶解希釈したCO2がどれくらいの期間隔離できるかについて、推定します。図8は、毎年0.1Gトン-CのCO2を、2000年から2100年まで、水深1500mへ、世界の7ヶ所で海洋へ注入し続けた場合の計算結果を示しています。海洋中での攪拌が弱い場合、強い場合など4つの条件を想定した結果、2200年の時点で、隔離効率は、低い場合でも60%、高い場合では85%でした。確かに、一部分は大気へ戻りますが、大半のCO2は数百年間、隔離できることが分かります。

なお、海洋には、図8に示すように、大気へ戻りやすい海域が南緯60度と赤道付近と北緯60度にあるため、CO2を投入するサイトの選択には慎重な検討が必要です。
 
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RITE 海洋隔離PJ