研究内容

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基礎研究

基盤解析技術

1. 染色体工学手法の開発

 ゲノム情報をもとに数十個、数百個の遺伝子を同時に組換える「ゲノム工学技術」は、生命の設計図であるゲノムの情報をもとに、理論的にゲノムを改良するための鍵技術と言えます。

 当研究グループでは、物質生産能力に優れたコリネ型細菌におけるゲノム工学技術の開発に取り組んできました。コリネ型細菌の全ゲノム配列から、ゲノム中に存在する生育に非必須な遺伝子群を見出すなど、ゲノム構造の解析を進めてきたほか、これまでに、数十個の遺伝子を細胞内より同時に除去できる「大規模ゲノム削除技術」や、逆に同時に多数の遺伝子を導入できる「多数遺伝子導入技術」、抗生物質のような大量に使用することが望ましくない薬品を使用せずに遺伝子組換えができる「マーカーレス大規模遺伝子導入・除去技術」といった新規の遺伝子組換え技術を開発しました。

Appl. Microbiol. Biotechnol. 79: 519-526. 2008. (Mini-Review)
Appl. Microbiol. Biotechnol. 77: 871-878. 2007.
Biosci. Biotechnol. Biochem. 71: 1683-1690. 2007.
Appl. Microbiol. Biotechnol. 74: 1333-1341. 2007.
Appl. Environ. Microbiol. 72: 3750-3755. 2006.
Appl. Environ. Microbiol. 71: 8472-8480. 2005.
Appl. Environ. Microbiol. 71: 7633-7642. 2005.
Appl. Microbiol. Biotechnol. 69: 151-161. 2005.
Appl. Environ. Microbiol. 71: 3369-3372. 2005.
Microbiology. 151: 501-508. 2005.
Appl. Microbiol. Biotechnol. 67: 225-233. 2005.
Appl. Environ. Microbiol. 71: 407-416. 2005.

2. 遺伝子発現系の開発

 当研究グループでは、物質生産細胞の遺伝子発現レベルの最適化の検討を行う際に重要なツールとなる、ベクター系と誘導プロモーターの開発を行ってきました。また、タンパク質分泌系の開発も行ってきました。

 新規プラスミド2種を単離し、これと既存のプラスミド4種、抗生物質耐性遺伝子7種を利用して、計42種の共存可能なベクターを構築しました。また、コピー数を数十から数百まで増加させたプラスミドを開発しました。さらに、新規プラスミドにランダム変異を導入してスクリーニングを行い、効率的な染色体組換えが可能な温度感受性プラスミドを開発しました。

 網羅的遺伝子発現制御機構の解析に基づき、各種プロモーターを利用した遺伝子発現誘導系を確立しました。

J. Appl. Microbiol. 115: 495-508. 2013.
Appl. Microbiol. Biotechnol. 97: 8219-8226. 2013.
Appl. Microbiol. Biotechnol. 97: 4917-4926. 2013.
J. Microbiol. Methods. 85: 155-163. 2011.
Appl. Microbiol. Biotechnol. 91: 677-687. 2011.
Microbiology. 156: 3609-3623. 2010.
Appl. Microbiol. Biotechnol. 87: 1855-1866. 2010.
Lett. Appl. Microbiol. 50: 173-180. 2010.
Appl. Microbiol. Biotechnol. 81: 1107-1115. 2009.
Microbiology. 155: 741-750. 2009.
Appl. Microbiol. Biotechnol. 82: 491-500. 2009.

3. ゲノム解析

 当研究グループでは、これまでに、Corynebacterium glutamicum Rのほか、Desulfitobacteriumhafniense Y51, Clostridium kluyveriの全ゲノム配列を解読しています。テトラクロロエチレンを脱ハロゲン化するD. hafniense Y51には5.7Mbpの染色体に5,060のORF (タンパク質に翻訳される可能性がある塩基配列) が予測されました。D. ethenogenes 195など他の脱ハロゲン化するバクテリアに比べ、大きなゲノムを有するD. hafniense Y51は脱ハロゲン化酵素をコードする遺伝子をわずか2つしか見られなかった一方で、多くの電子受容、供与体遺伝子が見出されました。炭素数2のエタノール、酢酸からカプロン酸(C6)、酪酸(C4)を生産する嫌気性菌として分離されたClostridium kluyveriについては今後、ゲノム配列の公開を予定しています。

J. Ind. Microbiol. Biotechnol. 39: 255-268. 2012.
Microbiology. 153: 1042-1058. 2007.
J. Bacteriol. 188: 2262-2274. 2006.

4. トランスクリプトーム解析

 当研究グループでは、C. glutamicum R株の全ゲノム解析から得られた情報に基づき、全遺伝子の99.9%を搭載した独自のDNAマイクロアレイを作製し、様々な条件における網羅的遺伝子発現解析を行っています。

<ChIP-chip (Chromatin immunoprecipitation-microarray) 解析>

 転写因子は遺伝子のプロモーター領域へ結合することによりその遺伝子の発現を活性化もしくは抑制します。本手法により目的の転写因子のゲノム上の結合領域を明らかにすることで、直接的制御下にある遺伝子を網羅的に同定します。また合わせて転写因子の共通認識配列を同定します。転写因子の遺伝子破壊株のトランスクリプトーム解析結果と合わせることにより、目的の転写因子が転写活性化因子、抑制因子どちらとして機能しているかを明らかにします。

5. メタボローム解析

 近年の液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィーといった分析機器の向上と新しい質量分析技術の開発、コンピュータによる計算能力の躍進等により、細胞内の多くの代謝産物を網羅的に同定する"メタボローム解析"が可能となりました。当研究グループでは、メタボローム解析技術の導入によって、より生産性に優れた微生物を取得する研究に取り組んでいます。

6. メタゲノム解析

 メタゲノムとは、環境中のサンプルからDNAを抽出し、直接PCRで目的の遺伝子を増幅して解析する技術です。最近は特定の生態系のヘテロなDNA集団を丸ごと解析したり、プロテオーム解析と比較したりすることでより詳細な微生物コミュニティーの解析が報告されています。当研究グループでは、これまで、石油油井や天然ガス井戸の深度地下微生物生態系の解析を行っています。

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