<プログラム研究開発 平成16年度>

CO
2地中貯留におけるシール層の安定性評価技術の開発


目的及び背景

CO2の帯水層貯留において、CO2の隔離性能は、貯留層やその上部を覆うシール層の岩石の物性に大きく依存する。CO2の隔離性能をより長期的に評価していくためには、CO2と地層(岩石)との化学反応 に伴う地層への物理的影響を把握することが必要である。本研究は、シール層及び比較として貯留層の岩石を用い、CO2の反応性及び岩石の物性(浸透率、弾性波伝播速度)への影響を調べるとともに、その影響評価技術を開発することを目的とするものである。

CO2帯水層貯留とCO2−岩石反応による影響

CO2帯水層貯留とCO2−岩石反応による影響

(1) CO2と岩石の反応性と浸透率への影響調査

岩石のCO2の反応を調査するために、岩石試料にCO2溶解水を長期間通液させる試験を実施した。 反応の影響を明確にするため、岩石試料は貯留層に相当する砂質岩を用いた。その中でも比較的反応性が高い灰長石を含み、かつ浸透性が高い凝灰質砂岩を選定した。岩石試料にCO2溶解水(約4.7wt%)を温度80℃で約 2ヶ月間通液しながら透水係数の変化を測定し、通液後の試料の化学的及び物理的 変化について観察を行った。その結果、鉱物組成や間隙率等の物性については、有意な差は見られなかった。 透水係数は、1ケタ程度低下した。岩石からの主な溶出成分はK、Na、Ca、Mg、Siであり、特にCO2溶解水によってNa 、Ca、Mgの溶出が促進されることがわかった。

凝灰質砂岩中の灰長石の溶解が確認され、Caの溶出速度から 溶解速度は7.1E-16 mol/cm2/sec以下と評価された。

(2) 弾性波によるシール性能の変化の評価技術の開発

シール層として期待される泥質岩についてシール性能や浸透率への影響を評価するため、高圧でCO2を注入しながら弾性波伝播速度を測定する実験システムを製作した。本システムは、弾性波によって流体の移行状況が観察できるとともに、シール性能の指標であるthreshold pressureの測定も可能なものである。

長岡実証試験サイトでの石灰質シルトを用いて、性能試験を行った。その結果、地層水の注入については弾性波によってモニターするとともにthreshold pressureを測定できた。

※本研究は平成17年度より地中貯留プロジェクトへと統合されました。




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