<プログラム研究開発 平成15〜17年度>

人工湧昇流海域におけるCO2吸収量の評価技術の開発




背景

海洋深層の海水が表層に湧き上がる湧昇域では、豊富な栄養塩を基にした大型植物プランクトンによる 活発な一次生産が起きている。そこでは大気中から海洋表層に溶け込んだCO2が、植物プランクトンの 光合成により吸収されている。一方、湧昇域以外では有光層中の栄養塩の不足によって、植物プランクトン の生物量が制限されていることが指摘されている。こ海域では、何らかの方法で下層の栄養塩を有光層に 供給することができれば、活発な一次生産が生じ、CO2の吸収が促進されることが期待される。また、 適切な方法が確立されれば、CO2の長期的な海洋隔離も期待できる。

目的

「人工湧昇流海域におけるCO2吸収量の評価技術の開発」では、人工湧昇流海域の植物プランクトン増殖 効果に着目し、海洋における吸収源拡大策のひとつとしての可能性を検討するために、実海域における 観測や室内実験、そして数値モデルを利用したシミュレーション等による人工湧昇流海域のCO2吸収量の 評価技術開発を実施した。

成果

本研究開発の成果として、人工湧昇流海域のCO2吸収量評価技術を提案した。

 @人工湧昇海域のパラメータの測定手法

 ACO2吸収量の算定手法

 BCO2発生量のLCA 評価

 C人工湧昇海域マッピング技術

これらの技術を用いて生月島沖の人工湧昇海域のCO2吸収量を評価したところ、この海域における CO2吸収の効果が示唆された。

課題

人工湧昇技術の実用化のためには、まだ多くの課題が残されている。 今後も個々の技術の精度向上を行い総合的に評価技術の向上に努める必要がある。 CO2吸収機能の促進のためには、最適な構造物の規模や環境を考慮した設置場所を選 択できる技術の開発が必要である。またCO2吸収機能の促進技術に加えて従来の食糧 増産技術との併用を可能にする高いレベルの技術に引き上げる必要がある。




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