<プログラム研究開発 平成18〜20年度>

ジオリアクター

◆ジオリアクターとは◆

CO2の隔離方策の一つとして、地下深部の帯水層へ貯留することが世界的に検討されており、我が国でも帝国石油岩野原基地(新潟県長岡市)において研究開発が行われている状況です。 この手法は、キャップロックと呼ばれる不透水層の下に存在する帯水層中にCO2を注入し、CO2 をガスまたは地層水中に溶解して長期間隔離するものです。帯水層の温度は40℃ 前後と低いため、注入されたCO2は、周囲の岩石とはほとんど反応せずにそのままの形態で長期に渡り存在し続けるも のと予想されます。よって、帯水層への貯留においては、CO2の漏洩に対する長期的な安全性評価 が重要な課題となるとともに、大規模かつ断層等のない連続的なキャップロックが存在する地域 に限られる可能性があります。

一方、我が国は火山国であり、地温勾配が高い地域が多く存在しますが、流体を伴わない地中高温地域では、そのエネルギーは未利用のままです。また、CO2と岩石の反応速度は高温ほど速 く、炭酸塩鉱物は沈殿しやすくなることが知られています。よって、地中高温地域に工場や火力発電所等の排ガスを注入した場合、岩石中のCa等との反応により炭酸塩が生成し、CO2の固定化 が促進されるとともに、岩石亀裂中で炭酸塩が沈殿する場合には、セルフシーリング効果により、 その下部にCO2を安定的に貯留するシステムを形成することが期待できます(下図参照)。

また、排ガスを地中に直接注入し、炭酸塩鉱物として固定化されないCO2濃度が低下したガスを回収して放出することにより、帯水層貯留のコストの大部分を占めるCO2の分離回収コストを大幅に低減化することが可能と なります。また、固定化されない不飽和CO2溶解水は自然上昇し、再び地下に戻してリサイクルします。

本研究は、CO2の地中貯留技術の一つとして、工場や火力発電所等の排ガスを地下の地熱岩体へ注入し、岩石と反応させることにより炭酸塩等として固定化すると共に、CO2を除去したガスは回収して大気に放出するシステムの基盤技術を開発することを目的とします。

ジオリアクターシステム概念図

ジオリアクターシステム概念図





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